M&A Sales Improvement Guide
商談が増えない根本原因は、クローザーが開拓業務を兼任していることにある。役割分担の再設計・パイプライン管理・外部代行活用の3ステップで、M&A仲介会社の成約件数を改善します。
目次
The Core Problem
M&A仲介会社の営業改善が難しい最大の理由は、構造的な役割混在にあります。多くの仲介会社では、M&Aアドバイザーが「売手候補の新規開拓」と「商談・ヒアリング・提案・成約」の両方を担っています。これは表面上、効率的に見えますが、実際には両方の質を下げる構造です。
新規開拓は量とスピードが求められるプロセスです。一方、M&A商談は一つひとつの案件に深く向き合い、オーナーの信頼を獲得し、複雑な交渉を前進させる繊細な作業です。この二つは、求められるスキルセット・集中力・時間の使い方がまったく異なります。
結果として、新規開拓に時間を割けば既存商談が滞り、既存商談に集中すれば開拓が止まる——という悪循環が生まれます。この構造を変えない限り、営業改善の効果は限定的です。
「アドバイザーを増やせばいい」という発想は、同じ構造問題を人数分だけ抱えることを意味します。1名追加するたびに採用費・育成期間・固定給が発生し、その間の開拓パフォーマンスは不安定です。問題は人数ではなく、役割設計にあります。
The Closer Principle
M&A仲介の成約は、信頼の積み上げと複雑な交渉の産物です。
M&A商談は、一般的なBtoB営業の商談と質的に異なります。経営者が長年育ててきた会社の売却という、人生で一度あるかないかの意思決定に関わります。オーナーの心理・財務状況・後継者問題・従業員への影響——これらを総合的に理解した上で信頼関係を築き、交渉を前進させることが求められます。
このプロセスに必要な「深い集中」と、新規開拓に必要な「広いカバレッジ」は両立しません。クローザーが新規開拓に時間を取られるたびに、既存の商談はスローダウンし、成約までの期間が延びます。
M&Aのオーナーは、アドバイザーが自分の案件にどれだけ向き合っているかを敏感に感じ取ります。連絡の遅さ・情報収集の浅さ・提案の精度——これらはすべて、アドバイザーの稼働集中度を反映します。クローザーが他の業務で分散していると、案件の進行速度と成約率に直接影響します。
売手候補オーナーへの初期アプローチで必要なスキルは、M&A商談を前進させるスキルとは異なります。開拓は「短時間でオーナーの関心を引き、会話のきっかけを作る」ことが目的であり、クロージングで必要な深い議論とは別の能力です。両方を一人でこなすことは、どちらの専門性も中途半端にするリスクがあります。
開拓担当(または代行)が商談機会を継続的に供給し、クローザーがそれを成約に変える——この役割分担が確立されると、各フェーズの効率が上がります。クローザーは「次の開拓」を心配せずに目の前の案件に集中でき、開拓側は商談の成否を気にせず量と質のアプローチに専念できます。
3 Improvement Steps
この順番で実行することが重要です。ステップを飛ばすと効果が半減します。
改善の第一歩は、現状把握です。クローザーの1週間の稼働時間を「新規開拓」「商談・ヒアリング」「提案・資料作成」「交渉・クロージング」「事務・管理」に分類します。多くのケースで、新規開拓と事務・管理で稼働の40〜60%が消費されていることが明らかになります。
この数字を把握することが、改善の方向性と優先度を決める根拠になります。「商談が増えない」という課題に対して「もっと電話をかけろ」と言うのか「開拓を外出しする」と判断するのかは、この棚卸しなしには正しく決められません。
棚卸しで新規開拓の稼働比率が高いと判明したら、その工程を切り離します。選択肢は「社内専任担当の配置」と「外部代行への委託」の二つです。
社内専任担当は、M&A業界への理解を育成できる反面、採用コスト・育成期間・固定給が発生します。外部代行(完全成果報酬型)は、初期費用ゼロで即戦力の開拓力を得られます。M&A仲介に特化した代行であれば、業界知識を前提としたアプローチができます。
どちらを選ぶにせよ、「クローザーが開拓を兼任しない体制を作ること」がこのステップのゴールです。
開拓を外部に委託しても、商談が供給されすぎてクローザーが対応しきれなければ機会を無駄にします。逆に、供給が少なければ改善効果が出るまでに時間がかかります。商談パイプラインを可視化し、「何件の商談を月にクローザーが受け入れられるか」を明確にすることが、ステップ3のポイントです。
パイプラインの可視化には、シンプルなスプレッドシートで十分です。「今月の開拓アプローチ数」「商談設定件数」「初回商談完了件数」「NDA締結件数」「成約件数」という5段階のファネルで週次管理します。どのステージに詰まりがあるかが見えると、改善ポイントが特定できます。
KPI Design
開拓フェーズと商談フェーズでKPIを分離することが、改善の精度を高めます。
M&A仲介の営業KPIは「成約件数」だけで管理されているケースが多くあります。しかしこれでは、どのプロセスに問題があるかが見えません。成約数が少ない原因が「商談数の不足」なのか「商談からの成約率の低さ」なのかによって、打ち手は完全に異なります。
| 改善目的 | 着目すべきKPI | 考えられる打ち手 |
|---|---|---|
| 商談数の絶対量を増やしたい | 月次商談設定件数 | 開拓工程の外部代行・開拓専任担当の配置 |
| 商談化率を改善したい | 会話成立率・商談化率 | アプローチ対象の見直し・トークの改善 |
| NDA締結率を改善したい | 初回商談 → NDA率 | 初回商談の質向上・クローザーのスキル強化 |
| 成約サイクルを短縮したい | NDA → 成約のリードタイム | マッチング候補の事前準備・交渉プロセスの整備 |
各KPIは週次・月次で追うことで、異常値をすぐに検知できます。たとえば「アプローチ数は変わっていないのに商談化率が落ちた」という変化は、ターゲットリストの質やアプローチ方法の問題を示唆します。数字の変化を早期に把握することが、改善のスピードを決めます。
SEIKA Positioning
SEIKAは「クローザーは商談・成約に集中すべき」という原則のもと、M&A仲介会社の開拓工程を外部から担います。売手候補企業へのアプローチから商談設定・クローザーへの引き渡しまでを一貫して担い、M&Aアドバイザーが高付加価値業務に専念できる体制を作ります。
完全成果報酬型のため初期費用・月額固定費はゼロです。商談が成立した件数分のみ費用が発生します(¥100,000/件・税別)。成果が出なければSEIKAも収益ゼロ——リスクは対等に負います。
月に受け入れられる商談数はクライアントが設定できます。クローザーの人数・受入体制に合わせた商談供給が可能です。供給量の急増でクローザーが対応しきれなくなるリスクを避けながら、パイプラインを安定的に拡大できます。
月何件の商談があり、クローザーが何名いるか——その数字から、SEIKAが介在できる余地を判断します。